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BS:何度もこのビルには来ているけど、いつ来ても気持ちいい!ついに隣のビルにまで進出ですね。今日まず聞きたいのは、「grafはどのように誕生したのか?」です。中之島で始まってまた中之島に戻って来たらしいですけど。。。
graf:いま僕たちがやっていることは「自分たちの本当に欲しいものが世の中になかったから」ということが最大の動機ですね。中之島公会堂の前の階段で、夜な夜なコンビニで肉マン買って集まってきては、、、「見てや!こんなん作れるようになったンやで!」「こんなん考えたンやけど、聞いてや!」って具合でとにかく熱く語っていました。メンバーはテレパシーで集まってきたようなところがあってシェフだったり、インテリアだったり、グラフィックだったり、、、各分野で修行していた22〜23才くらいの6人。それぞれの世界で技術的にいろんなものを吸収していたのも当然だけど、この世の中、何でもタテ↓タテ↓でしょ。ものを作る新しい仕組み、ものを売る新しい仕組み、こうしたものもマジでずーっと考えてましたね。そしてgrafの始まりは、あるカフェでイベントをやったこと。当時インテリアのイベントなんて大阪ではほとんどなかったのに、ビックリするほど人が集まった。
BS:多分大成功したんだと思うけれど、お客さんからの反応は?
graf:「こんなにいいもん作ってんのに、なんで自分たちで店持たへんの?」って声で、背中を押されたような気がしたし、「おれたちやろうとしてること間違ってないな」って。それで南堀江に18.5坪の小さいショールームをつくった。でも、しばらくしてやっぱり狭くなって、一年間ビル探して、狙い通り中之島に戻って来た。
BS:今ごろ、南堀江ってえらいスゴイ場所になってますよ。昨日行って来たけど、つい数年前までは考えられなかったようなエリアなのに若い人たちがたくさん散歩しに来てる。でも3年前、早々にも引き上げて来たっていうそのセンスが抜群だと思う。不動産的にも・・・
graf: 80年続いて来たような「橘家具通り」は、僕らが入り込んだ頃は中国製の安いパイプ椅子しか売れないような状況やったんです。でもその中にも、探せばいるんですよ。欄間の職人、木材の達人、家具の職人、その地域に行けばね。・・・道頓堀の歴史を考えればなぜそういう人がそこにいるのか分かるけど・・・そんな場所やったから、寂しいようなところでも選んだわけ。でも南堀江もここ3、4年でえらい変わってきたでしょ。東京や海外からも大きな資本が入ってきて、どんどん物が消費されていくようになると、またいつか廃虚になるような予感もする。行政だけがついて来てない気がするし・・・なんかね。
BS:ところで相合家具製作所との共同で製作・発表したコラボレーションファニチャー「ad」シリーズは、僕も個人的に大好きなんですけれど、このプロジェクトは既存の流通経路を変えようとした試みなのでしょうか?
graf: 製作所から、中卸問屋→小売店→ユーザーと流れていく間に交わされるのは「まとめて幾ら!」「掛け率コンマ○○」といった言葉。ユーザーに一番近い位置にいるgrafとちょうど反対にいる製作所が共同することで、いいものを直接届けることができるし、そうするとお客さんとのコール・アンド・レスポンスも良くなる。これはリアルなものを作るために必要なシステムだと思う。とにかく「発注」っていう概念があかんわ。「共につくる」ってことでないと、いいもんは出来へんし、「ad」は相合家具がgrafに発注したわけでもなく、その逆でもないです。両者が共につくったものです。
BS:また今年から始まったgraf media gmの取り組みは、今までつくって来られたハードに対してソフトの面を特に意識されているようですが。
graf:graf media gmでは、ブックショップ、ギャラリー、バーカウンターがあり、仕切れば映像の上映会もできるように設計しています。「ものづくり」し過ぎると、つくってる本人が気付かないうちに「無駄づくり」になってたりするんじゃないですか・・・例えば、このコップ。この最低限のものが、冷たい水をいっぱいまで入れたときは冷水を飲むコップになるし、ブランデー入れればブランデーを飲むために素晴らしいコップになるでしょ。僕たちがつくる机だって、本当はいいものがたったひとつあればそれで十分。ダイニングテーブルにもなるし、デスクにもなるし、パーティーカウンターにもなるし・・・
BS:ブルースタジオでも、作り付けの収納をつくる代わりにお客さんの手持ちのキャビネットが収まるスペースを確保したり、といったことをよくするけれど、考え方は同じですね。
graf:そう、そう。そうしたハードの中で何をどうするかっていうソフト、コミュニケーションの部分をこれからはもっと考えていきたい。
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「自分のすべての生活はものづくりのためにある」とまで言い切った服部氏だけれど、その視線は単に「もの」そのものだけでなく、流通、生活、街までを捉えていた。デザインするだけでなく、製作から流通まで自らのエリアを垂直的に掘り下げ、またエディトリアルデザイン、イベントのオーガナイズ、カフェ/レストラン、コラボレーションのプロデュース、キュレーション・・・と水平面の各領域も自然とgrafというブランドで了解できるのは、grafの目が「ものを消費する社会」というものを見据えているからだろう。
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