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「日常」の発見

「小屋」を撮る写真家として知られる中里氏だが、ただ撮っているだけでは飽き足らず自分で小屋をつくってしまったらしい。しかも最近ではその小屋をいろいろな場所に持ち運んで写真と一緒に展示したり、その小屋を撮ったりしているのだから、そのうちに単純に写真家とも呼べなくなる時が来るかも知れない、、、雑誌「散歩の達人」連載のための取材に同行させてもらった。
中里 和人/ナカザトカツヒト
1956年三重県産まれ、写真家。法政大学文学部地理学科卒業。今までに雑誌「コンフォルト」、「STUDIO VOICE」、「Memo」、「散歩の達人」などに連載多数。写真集に「湾岸原野」(六興出版)、「小屋--働く建築--」(INAX出版)、「小屋の肖像」(メディアファクトリー)、「キリコの街」(ワイズ出版)、「逢魔が時」(ピエ・ブックス)。また写真展では、京島の長家、向島の町工場、トルコのカッパドキア洞穴、沖縄那覇農連市場、富士吉田旧土蔵などで会場探しから会場づくりまで自ら行うプロジェクトを多数敢行中。
contact: 千葉県市川市大野町2-120-3
047(339)0745

2003年9月25日 奥多摩にて
インタビュアー:泥谷英明(blue studio)
撮影:武井良介

それでも小屋を追いかけて。

BS:中里さん、今まで全部合わせて小屋は幾つくらい撮ってるんですか?

KN:ん〜。何千って撮ったんじゃないでしょうか?とにかく数えきれない数ですよ。最初は目に入ってきた小屋なら全部撮ってたんですが、慣れてくると、自分の中に選択する目が出来てきたんでしょうね、ふるいにかかったものだけを撮るようになっていきました。一日で50の小屋を見たとしますよね。以前なら全部を撮ってたんですがだんだんと3つくらいになっていきましたね。

BS:どういう場所に出かけていくんですか?

KN:最初は東京の近場から始めたけど、最終的には全国どこへでもいきました。はじめの1年半くらいはものすごい数を撮ったんだけど、、、なかなか焦点が定まらなかったんです。。。それでも続けて小屋を追いかけてると、ある時に小屋がそれをつくった人の姿に見えたんですよ。そうか、自分が撮ろうとしているのは実は「小屋の肖像写真なんだ」っていう、その発見で小屋を撮る意味がハッキリつかめました。つまり手づくりをした小屋の作者、おじいさんやおじさんのポートレイトを撮ればいいんだと気づいたんです。

BS:その発見で具体的に撮り方が変わりましたか。

KN:それまではいろんな角度から小屋を撮っていたんだけれど、肖像写真の基本は正面から描写するという方法でしょう。その発見以降は、自分が見て「ここが一番」という小屋の姿を正面からだけ撮っていくようになりました。

BS:なるほど。その発見で写真集の名前が「小屋の肖像」になったという訳ですね。

KN:そう。

BS:それにしても、「小屋を撮ってた写真家が、小屋をつくるようになった」って言うのは本当だったんですね。つくるのを手伝わせていただいて、「家づくりの基本」をミニチュア版で体験させていただきました(笑)。材料は絶妙な大きさとカタチで組み合わされて、小屋を構成するパネル状のパーツとなっていましたね。例えば1枚の床パネル、6枚の壁パネル、それから屋根の骨組み(小屋組)と屋根のトタン、、、といった具合に。そしてパーツごとに解体されて、クルマに積み込んで運ぶんですね。まるで「木でできたテント」でした。

KN:材料は拾ってきたりもらったりして集めたものばかりですよ(笑)。

BS:毎回組み立てる度ごとに、ちょっとした不具合も改善していくじゃないですか、その小さな修繕の集合体で小屋が成立していますからとても建てやすく、使いやすく、家ができる。素晴らしいことですね。

KN:小屋の素晴らしさを分かってもらえましたか!






以上三点「小屋の肖像」(メディアファクトリー)ほかより



組み立て途中の小屋
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