| BS:その気持ちはよく分かりますよ。リノベーションも融資対象になることはほとんどありませんから。この状況は変えられるでしょうか。
EI:変えないといけないんです。直接金融が進んでいる欧米に対抗する方法論を見つけなくてはいけません。極端で乱暴な言い方になるかもしれませんが、日本は欧米から「消費国家」としてしか見られていません。私たち日本人は、欧米発のあらゆるブランド品、ファッションからインテリア、コンピュータ、車、音楽、映画その他暮らしに関わるをあらゆるモノ買っています。その代価はそのまま欧米に吸い上げられて、彼らは、自国の文化を底上げする為にその一部を再投資しています。国も税金を控除してそうした文化に関わる投資活動を優遇する。このサイクルが続く限り、いつまで経っても日本の国力は欧米へ追いつかないし、文化的競争力は高まりません。この根本的な構図を変えないといけないんです!いつまで経っても取られっぱなしですよ。このままでは。
マーケットは「ひとつだけの何か」を求める。
EI:それから、コンテンポラリーアートは建築とクロスする領域でもあります。建築家が設計を行う段階で、その重要なキーファクターとしてコンテンポラリーアートのコミッションワークが発注されます。
BS:なるほど。。。日本でもそういう例は少しはありますね。ただコーディネータが動くことが多いかもしれませんが。
EI:欧米ではもちろん建築家が作家を直接指名するわけです。日本でもこれからは建築計画の段階でこうした現代アートを、建築の文脈の中に取り入れ、またバリューのひとつとして検討されるようになっていくと思います。世界でひとつしかないコミッションワークですからね。極端な話、もっとコンシューマ寄りのマーケット、例えば分譲マンションのエントランスにガツンと入ってもいいじゃないですか。そういったフェーズまで落ちてこないと、マーケットが成熟したとは言えないでしょうね。みんな家具でも何でも、お金を出して既製品を買うということに飽き足らなくなって来ているわけじゃないですか、そうすると「ひとつだけの何か」「他のどこにもない何か」を求めるようになってくる・・・
BS:それはよくわかります。でも、「ひとつだけの何か」のマーケットに育ててゆくのは非常に困難な仕事のようにも思われます。今福さんは、ご自分あるいは会社をどのような立場だと認識されていますか。
EI:私は敢えて言ってしまえばアートの専門家でもないし、金融マンでもありません。アートの世界とファイナンスの世界とをつなぐ立場の人間でしょう。今まで、そういう人がいなかったということでしょうね。アートの人はアートの世界だけで考えていたし、金融の人はそんなところに目が向いてなかったし、、、不動産だ!利回り10%だ!って、ドメスティックにおいてリアリティのある金融商品にしか目が向いていないですよね。でも外の世界に出るとそんなことはちっぽけなことだし、もっと大きな可能性のあるマーケットがあるわけですよね。彼らをつなぐのが私の仕事です。アートの世界の人にも、金融の世界の人にもお互い少しずつ気付いてもらって、それで日本の国力を上げる仕事をしていきたいわけです。
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