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「建築はどのくらいもつのか?」
BS:日本のコンバージョンはこれからどのようなところへ向かうのでしょうか。
KS:野球に例えて言うと、スタジアムも作った。客席も埋まった。だけどプレーヤが表れない。みんないつ試合が始まるのかうずうずして待っている、そういう状況かもしれません。シカゴでコンバージョンで成功した建築家フィッツジェラルド氏は、コンバージョンが普及するために「成功事例がいかに重要か」ということを再三言っていました。ラティス青山はそういう意味で言うと「成功事例」と言えるでしょう。ただ、東京45%のオフィスビルを所有していると推定される個人オーナーもしくは零細企業が、この「成功事例」を彼ら自身の問題として考えにくいというところに難しさがあります。やはり、隣のオフィスビルが、住宅に変わり、投資効率も良く、税制優遇も受けた、、、そういうもっと身近なフェーズにまで話が落ちてこないとコンバージョンは普及しないと思います。そのためには、行政側の何らかの「後押し」が求められると考えています。
BS:松村先生がマンハッタンで古い超高層ビルを何本も経営・管理する企業の責任者と技術責任者に「古いビルは何年もつと考えているのか?」と質問したところ、エンジニアの返事は「何年もつかなんて考えたこともないけれど、後300年くらいは平気なんじゃないでしょうか」との気の抜けたもので、「この問題に関する日米の捉え方の違いが明らかになった」と言及されているのを拝読したことがあります。「建築物はどのくらいもつのか?」というこの種の問いを、佐藤さんはどのようにお考えですが?
KS:それは、(建築)計画の対象です。つまり「後何年もたせるのか?」ということは個別に計画されるべきものであって、建築物一般にそれが○○年もつということを言えるわけではないということです。旧耐震以前の建築物はいずれにしても耐震補強をしなくてはなりませんが、きちんと耐震補強すればそれは新築同様の耐震性があると考えることができます。
BS:海外と日本では耐久性に関する考え方が随分違うのでは、と想像するのですが?
KS:「耐久性に関する考えが違う」・・・そういう言い方も出来るかもしれませんね・・・「社会的に」という意味においてですが。というのも、日本人は震災も経験し、火事になれば木造家屋が焼け落ちるということを体験的に知っていますから「建築物はある時期がくれば更新されるモノ」という感覚が強い。一方、欧米人は決してそうは考えません。彼らは「建築物は永遠に存続するもの」と捉えています。ただ、建築物の耐久性はメンテナンスによっても大きく左右されるということを忘れていはいけません。
BS:私もそう思います。マンション購入を検討している方とお話しをする機会が多いですが、「どのくらいもつか?」の問題の中でも、「メンテナンス」のことは案外盲点になっている事が多いように思います。
KS:マンションは・・・もちろん、現在は違うわけですけれど・・・今まで比較的長い間「死ぬまでそこに住む」という考え方で購入されて来ませんでした。そういう感覚の中ではメンテナンスの優先度が低くなるわけです。「自分が逃げ切るまでもてばいいんだ」・・・そういう心理とでもいいましょうか。
BS:でも、そのメンタリティーは変わる必要がありますよね。コンバージョンを広めていくためだけでなく、建物を長く大切に使っていくためにも。
KS:そうだと思います。
コンバージョンはまだ試行錯誤の段階かもしれないが、各国の先行事例が建築業界、建設業界、不動産業界に教えてくれることも非常に多い。今回改めて研究レポートを読み、世界の中で自分たちのスタンドポイントが分かったような気がしました。もうすこし道は続きます。
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