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油絵が描けない
BS:稲垣さんはずっと油絵を描いていたそうですが、何故今になって日本画の材料を使うようになったんですか?
HI:このアトリエに入ってからです。今まで家で描いていたんだけれども、ここのアトリエに来てから油絵が使えなくなっちゃった。描けなくなっちゃったのね。ここでテレピン(編集注・油絵の具を溶くための独特なにおいの揮発性溶剤)を開けて、、、ということができない。この空気にあわない。
BS:環境がそうさせたということですか?
HI:そう、油絵の具が合わない。いくら考えても家から油絵の具を持ってこようと思わなくて。油にこだわっていたワケではないですし、ずっと日本画の材料はいいなって憧れていました。ただ受験の時も大学に行ってからもずっと油絵をやっていたし、洋画は自由度が高いのに対して日本画の描き方って独特ですしね。でもここに来てから、いくら考えても家から油絵の具を持ってこようと思わない。植物なんかを描くのは水溶性のものだな、水を溶くカンジがいいなぁと。それで日本画の材料を買ってきて、本を見て。
BS:本を見てというのは、今までやったことがないから?
HI:うん。最初のうちは使い方がよくわからなくて、その当時やった個展の作品は今見ると激しい絵が多い。私の絵の描き方は、消していく、淡くしていくというカンジ。日本画の画材を使うようになってからは、出したい色を出すのにもっと「消して・描いて」を続けていかないと淡くならない。
BS:すごく時間がかかるんですね。
HI:割に合わないなと思う(笑)。油だったらパーァっと描けるものも、水彩だと描けない。でもここで油絵は描けないから、時間をかけて制作してます。また気が向いたら油もいいと思うけど、今はやっぱりこういうものを描いていくのがいいかなぁと思う。
BS:この里山の緑の影響があるということですね。この建物は以前、環境デザインの美大生が作品として既存の建物に内装をしたということですが、とてもおもしろい空間ですね。この建物の影響というのはあると思いますか?
HI:この建物もあると思う。独特の気配がある。別に何をしたというワケじゃないし完成された建物じゃないけれど。建築をやっている人から見てもおもしろいみたい。
BS:すごくおもしろいと思います。元々の屋根のかたちもおもしろいですし、内部にいる時、視界に入ってくるのは白い正方形のパネルと竹林の緑。とても気持ちのいい空間ですね。
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