デザインの中の普遍性
BS:設計/コンセプトの中で特に大事にしているもの。例えば光や風、敷地や周囲との関係性など、特に気にしていることはありますか?
KS:特定のものはないですね。でもどこかで自分のつくるものに「普遍性」を求めているかもしれない。社会を取り巻く複雑で雑多な状況を、建築という道具を使って明快に整理してみせる、そんな解答。どんな人からみても「あーわかるわかる」とか「ぴたっときてる」というような普遍性。そんな内容が自分の作るものに備わっていればいいな、と思ってます。けど、はじめから普遍性を詩って相手に自分の考え方を押し付けたくないですね。だから日々行っているデザインワークではクライアントやその敷地などの諸条件ごとに個別の解答を出そうと心がけています。
BS:清水さんの中においての普遍性ではなく、みんなが共有できる普遍性。でもそれはプロトタイプをつくるということではないですよね?
KS:個別性を削ぎ落としてタイプ化することに興味がないわけではないですが、そのような仕事は今までにないですね。「その人独特のライフスタイル」もしくは「その人と自分との間で共有し得た価値観」といった特殊性、個別性が大事だったりします。店舗でも住宅でも、クライアントと過ごす時間を楽しもうと思うと、自然とそうなってます。
BS:店舗ではどうですか?オーナーさんが企業であったり個人であったり状況も様々だと思いますが、住宅とは違う大事にしている点はありますか?
KS:個人オーナーの店舗は住宅を作る時と似ているかもしれない。だけど、あるブランドイメージが確立されている企業の店舗をやる時は、そのブランドの指向性を理解した上で提案するよう強く心掛ける気がしますね。ある店舗内装のオファーがあった時それを強く感じたのですが、そのブランドは美容業界で30年の老舗で、ヘアサロン特有の内装専門知識は、とうてい太刀打ちできないほど独自のノウハウを積んでいらして、ただ、何か新鮮さが欲しくて時代時代にあわせて色々な建築家・デザイナーたちに依頼している。この時は今までのそのブランドの変遷を意識する必要がありましたね。
BS:確たるブランドコンセプトがあるがゆえに頼んでいるのかもしれないですね。そういったケースの場合、過去のものをみたり、、、?
KS:毎回の打ち合わせがプレゼンテーションの場でもあり、過去の変遷と企業理念についてコミュニケーションする場でもありました。一方、明らかに企業イメージを変えようという場合は、その場所、敷地にあって不自然でないものをつくることに気をつけているように思います。
BS:その場合、建築を通してのC.I.(コーポレーション・アイデンティティ)ですよね。
KS:そうですね。あるアパレル店舗のケースですが、今まで百貨店で展開していたブランドが初の路面店をつくるということで、ある意味、今までの志向を変えたいというオーダーがありました。その時は既存のイメージや、変遷を意識することなく、率直にブランドの服を見せてもらって、雰囲気と空気間をつかんで提案をしました。
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