ブルースタジオ(以下BS):そもそも齊藤さんが鎌倉で不動産コンサルティングをやろうと思った理由はなんだったのですか。
齊藤英典氏(以下HS):私はもともとRIA(Research Institute of Architecture)にいて、主に商業地域の再開発に携わっていました。そこでの仕事は、国からの補助金を使って、市街地全体から見るとごく狭い範囲の商業地域に数百億というお金を投入するというものでした。都市計画図をみれば分かりますが、通常の市町村では住宅地が市域面積の大半を占めているのに、そちらには公的な資金が入らず、よって我が国では住環境が豊にならない・・。おかしな話ですよね。:笑 独立してしばらくして、鎌倉や逗子のいたるところでマンション開発の問題が持ち上がりました。5階建て程度のものでも鎌倉の町にとってはとっても大きなものなんです。もちろん旧市街の人たちは猛烈に反対しましたね。でも都市計画法や宅地造成法は、全国一律の法律だから結果的に建っちゃうんですよ。そこで思ったことは、鎌倉に見合った良い住宅地開発というのを出来ないものかな、と。そしてそのためにも鎌倉に合ったルールづくりや不動産事業の提案が必要なんじゃないかと。・・今に至る・・という感じでしょうか?:笑
BS:そうですね。全国一律の条例や法律は問題ですね。では、鎌倉とはご自身にとってどんな街ですか?
HS:鎌倉市は人口17万人もいない小さな市ですが、僕のとっては小さな町とか村という感覚ですね。だから自然と人のバランスとてもよくて、生活する上では理想に近いところだと思いますよ。
BS:その鎌倉の魅力を維持するために、様々な保存活動が過去あったかと思うのですが、どういった活動があったのでしょうか。また、その活動についてどのようにお考えですか。
HS:我が国の古都を守るための規制誘導方策として古都保存法があります。この法律は当時、ブルドーザーの前に寝転んで開発を阻止した市民の活動が原因で立法されたと聞いています。三大緑地にしても一坪地主運動的な発想で緑地を保全しています。こうした活動は一般社会からは「反対運動」としてあまり良い評価を得てはいません。しかし、そうまでしても守らなければならないものが鎌倉にはあるんだということを、むしろ専門家側が認識すべきでしょう。専門家はこうしたちょっと過激な市民の活動を、簡単に否定する前に、そういう状況で制度を放置している自身の無力を反省すべきなのではないでしょうか?
BS:なるほど。そこに住む人の思いが大切ですよね。私自身イギリスに住んでいた時期があったのですけど、地域によっては、自分の家のドアの色を変えることすら出来ないところもありましたし。裏庭の木の上に子供が作ったツリーハウスを役所が開発行為だとして壊しに来たり。(笑)時には行き過ぎの感がありますが、守ろうとする意識が高かったですね。
HS:なるほど。鎌倉は日本が世界に誇れる観光地の一つだし、外国人も沢山やってくる。だからそういった意識が大切かもしれませんね。
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